東京・六本木にある国立新美術館にて、「クリスチャン・ボルタンスキー − Lifetime」展を鑑賞してきたので紹介します。
実は、本展示会を鑑賞するのは、今日で2回目。1度目は、大阪にある国立国際美術館にて鑑賞してきました。
その時の印象は、嫌が応にも「死」を連想させるものばかりで、幾度となく恐怖を感じていました。けどしかし、それ故にインパクトが絶大で、もう一度鑑賞してみたいという想いが抑えきれませんでした。
そして2回目に国立新美術館で鑑賞した感想は、「国立国際美術館で観たときよりも、刺激が少なめ」というもの。会場の雰囲気も明るめ、音楽も小さめ、作品が迫ってくる感じもありませず。初めて観たときの印象とは、まったく違う作品展に感じました。
ではもっと詳しく、「クリスチャン・ボルタンスキー − Lifetime」展についてお伝えしますね。
国立国際美術館での鑑賞レポートはこちら:鑑賞レポート「クリスチャン・ボルタンスキー − Lifetime」展(国立国際美術館)
「クリスチャン・ボルタンスキー − Lifetime」展 概要
展示会紹介
現代のフランスを代表する作家、クリスチャン・ボルタンスキー(1944年-)の活動の全貌を紹介する、日本では過去最大規模の回顧展です。(中略)自己や他者の記憶にまつわる作品を制作し、注目されます。(中略)光を用いたインスタレーションで宗教的なテーマに取り組み、国際的な評価を獲得。その後も歴史や記憶、人間の存在の痕跡といったものをテーマに据え、世界中で作品を発表しています。
本展では、50年にわたるボルタンスキーの様々な試みを振り返ると同時に、「空間のアーティスト」と自負する作家自身が、展覧会場に合わせたインスタレーションを手がけます。by クリスチャン・ボルタンスキー – Lifetime|企画展|展覧会|国立新美術館 THE NATIONAL ART CENTER, TOKYO
「クリスチャン・ボルタンスキー」作家略歴
1944年にパリで生まれる。1968年に短編映画を発表し、1972年にはドイツのカッセルで開かれた国際現代美術展のドクメンタに参加して以降、世界各地で作品を発表する。1990年代以降は大規模なインスタレーションを数多く手がけるようになる。1990–91年にICA, Nagoyaと水戸芸術館で個展を開催。以来日本とも密接な関係を築き、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」(新潟)には第1回から参加し、2010年に「瀬戸内国際芸術祭」(香川)が開かれた折には《心臓音のアーカイブ》を豊島に開館する。2001年にはドイツでカイザーリング賞を、2006年には高松宮殿下記念世界文化賞を受賞。現代のフランスを代表する作家として知られる。
by クリスチャン・ボルタンスキー – Lifetime|企画展|展覧会|国立新美術館 THE NATIONAL ART CENTER, TOKYO
回顧展スケジュール
国立国際美術館(大阪)
- 開催期間:2019年2月9日(土)~5月6日(月・休)
- 住所:大阪府大阪市北区中之島4-2-55
国立新美術館(東京)
- 会期:2019年6月12日(水)~2019年9月2日(月)
- 住所:東京都港区六本木7-22-2
- 開館時間:10:00〜18:00(例外あり)
長崎県美術館(長崎)
- 会期:2019年10月18日(金)~2020年1月5日(日)
- 住所:長崎県長崎市出島町2-1
鑑賞レポート
落ち着いて「死」と向き合える空間

国立新美術館で観た本展示会は、落ち着いて「死」と向き合える空間というのがピッタリです。以前、国立国際美術館で鑑賞したときは、強制的に「死」と向き合わざるを得ないと感じました。

2度目の鑑賞だからでしょうか。いや、たぶん会場による見せ方の違いです。
国立国際美術館での本展示会は、会場がとても明るい印象です。また、迫ってくるような心臓音も控えめ、会場も広いので作品との距離を保つこともできます。

天井から吊るされた「スピリット」も、落ち着いて鑑賞することができます。
ここに映る人たちは、どんな人生を歩んできたのだろう?どんな性格をしているのだろう?いつの時代の人?生きている人?それとも・・・

2回目の鑑賞とのこともあり、以前とは別の作品に気になることもありました。ただただ恐怖しか感じなかった「発言する」も、そこから聞こえる声に耳を傾けることができました。

この「白いモニュメント、来世」は、国立国際美術館にはなかった作品。いや、「黒いモニュメント、来世」という作品でした。国立新美術館での作品の方が、なんとなく優しさを感じます。
国立国際美術館での鑑賞レポートはこちら:鑑賞レポート「クリスチャン・ボルタンスキー − Lifetime」展(国立国際美術館)
Twitterでの感想・反応
ボルタンスキー展行ってきた
こんな絶妙にずっと居心地の悪いことあるかって感じだった— まきこ (@hiramakiko) July 15, 2019
毎日書くやつの昨日の分を書きました。寝落ちしすぎ侍。ボルタンスキーについてぶつぶつ書き散らしています。
ボルタンスキーの非肉体的死体(27日目)|伊藤螺子 @thunderheadhour|note(ノート) https://t.co/Ki9NPBRPIh
— 伊藤螺子(短編集通販はじめました) (@thunderheadhour) July 15, 2019
ボルタンスキー展、一番よかったのは展示内容ではなく4年泥団子を作っていたとかそういうエピソードでした。
— nooonoo (@nooonoonoonoo) July 14, 2019
ボルタンスキー展
ライターさんと行ってきたけど
ボルタンスキー謎すぎて
わたしもライターさんも首傾げた。でもね、すんごく良かった。 pic.twitter.com/cGHIfaTC41
— 牛乳ちゃん (@gyuu___nyuu) July 14, 2019
ボルタンスキー展再びみました どこまでも広がる死と不在の空気に押し潰されそう 別会場で1度見たのでついでくらいの気持ちでしたが侮っていた より圧がすごいというか重いというか… この不穏は一体どこから?解説〜〜!と思いながら図録を手にしてしまった pic.twitter.com/yTX74wqrXI
— lmnop (@okome_mentaiko) July 14, 2019
オットとボルタンスキー見てきた。
終始死と向き合う時間だったが、何かとスタイリッシュなので薄まる。
鼓動の音は良かったな。
(吐く音は…)精霊が飛び交う南米の夜も良かった。
死人も白人ばかりだけど。 https://t.co/sm7xWczCgb
— solferino (@via_solferino) July 14, 2019
雨でしっとりした気分のため、ボルタンスキー展へ。会場に自分一人きりだったら、心洗われただろうな。薄暗いなかに光が揺れていて、心音が響いていて、癒し空間でした。冒涜的な展示があったとしても。 pic.twitter.com/UGd8077SeL
— 志貴 (@shikixxy) July 14, 2019
ボルタンスキー展、特に良いと思わなかったけど死んだ人間の断片をいくら集めてもその人を再現するには至らないどころか明瞭な像すら結ばないんだけどそれでも悼もうとするならばその曖昧な何かに届かないことを確信したうえでなおそこに届くようにメッセージを送ることが必要なんだなーと思った。
— 来来来世 (@imawa_nokiwa) July 14, 2019
国立新美術館のボルタンスキー展凄くよかった
静かな空間で生と死について考えさせられた貴重なひと時
普段はつまらないことで頭が埋まってるから良いリフレッシュになった pic.twitter.com/bAIm2MyDLS— 佐貫 (@kamatama002) July 14, 2019
国立新美術館のボルタンスキー展へ。前評判で重い鬱な内容を覚悟してたけど、不思議と落ち着く空間だった。ぼた山の部屋とモニュメントの部屋ずっと居れる。 pic.twitter.com/D3Dg7ZIfKF
— もね (@kissing_mary) July 14, 2019
国立新美術館のボルタンスキー展に行ってきました。個人的には失望の展覧会。
会場に説明掲示無しで入場時に冊子を配る方式ですが、会場内は何処も照度を落としているため、小さい文字を快適に読めません。照度は作家の意向? 一部を除きあそこまで暗くする必要がある作品とは思えません。
— dslender (@mi95511) July 14, 2019
ボルタンスキー展見た。
光、影、人の痕跡?としての写真や服や声、電気の配線、光を発するものと照らされるもの?
イメージを実現するバイタリティーに圧倒される。この種の作品は精神的にタフでないと出来ないだろうなあ。
トートバックが売ってた— yasutakakonno (@yasutakakonno) July 14, 2019
まとめ
本展示会は、国立国際美術館での鑑賞と合わせて2回目でしたが、相変わらず「死」について考えることになりました。初めて観た時と比べると、穏やかな気持ちで思考を巡らせられたのは良かったこと。
ただ、人によっては、かなりの恐怖を感じるかもしれません。ボルタンスキー自身、次のように語られているためです。
「死者」に捧げる儀式を行うことが芸術家としての私たちの仕事だと思っているのです。
とても刺激が強い展示会なので、どうか心して鑑賞を楽しんでみてくださいね。
なお、写真撮影が許可されている範囲は、圧倒的に国立国際美術館の方が多かったので、どんな作品が展示されているか知りたい方は、こちらの記事を読んでみてくださいね。
国立国際美術館での鑑賞レポートはこちら:鑑賞レポート「クリスチャン・ボルタンスキー − Lifetime」展(国立国際美術館)
▼こちらの記事では、美術館での「鑑賞マナー」を紹介していますので、合わせて読んでいただけると嬉しいです。