【要約まとめ】具体と抽象(細谷功さん)-視座を高めて世の中の見え方を変えられる本-
ビジネスコンサルタント 細谷功さん著「具体と抽象」を読んだので要約まとめをご紹介します。
「具体と抽象」は、超大ベストセラーで、Amazonのレビューが3,000件を超えているほどです。
しかも、Amazonの評価は、「4.4」もあって、多くの人に書籍が受け入れられています。
その理由は、「抽象」という分かりにくい概念を、とても面白いものであると分かりやすく解説してくれているからに他なりません。
- なぜこの人は、自分が言っていることを理解してくれないんだろう…
- この人は、何が言いたいのかよく分からない…
このようなコミュニケーションギャップを、「抽象」という考えによって、見事に解説してくれています。
おもち町役場を描いた1分で読める4コマ漫画も、分かりにくいものを分かりやすくしてくれている一員です。
この記事では、「具体と抽象」の要約をまとめてお伝えしますので、どうぞ続きをご覧ください。
「具体」と「抽象」の比較表
具体 抽象 直接目に見える 直接目に見えない 「実体」と直結 「実体」とは一見乖離 一つ一つ個別対応 分類してまとめて対応 解釈の自由度が低い 解釈の自由度が高い 応用が利かない 応用が利く 「実務家」の世界 「学者」の世界
本書の中で、具体と抽象の特徴について、このような比較表でまとめてくれています。
こうやってみると、やや理解し難いのですが、要するに、こういうことです。
- 具体:分かりやすい
- 抽象:分かりにくい
「具体」をイヌで表すなら、柴犬、チワワ、ブルドック、ゴールデン・レトリーバー、ダックスフンドなどです。
これらを抽象化すると、イヌになります。
さらに抽象化を進めると、動物→哺乳類→生物という具合になっていきます。
具体的な犬種を言えば、誰もが同じことを想像することができますが、ただ単に「イヌ」と言われると、柴犬を思い浮かべる人もいれば、チワワを思い浮かべる人もいます。
また、「動物」と言われると、イヌを想像する人もいるし、ライオンを想像する人だっているでしょう。
このように、具体は分かりやすいもの、抽象は分かりにくいものと言うことができます。
「抽象化」ができるようになるメリット
では一体、細谷功さんは、なぜ抽象について言及されているのでしょうか。
その理由は、さまざまあるのですが、一つ例えを出してみます。
具体しか理解できない飼い主とご飯を食べたいわんちゃんの会話を想像してみてください。
(わんちゃん)お腹が空いたから、ご飯が食べたいよ。
(飼い主) ご飯って何?
(わんちゃん)いつももらっているエサだよ。
(飼い主) エサって何?
(わんちゃん)エサはドッグフードだよ。
(飼い主) あぁ、ドッグフードが欲しいのね。
抽象を理解することができなければ、わんちゃんのご飯をドッグフードだと結びつけることができないので、回りくどい会話になってしまいます。
抽象を理解していれば、1を言って10を知ることができるわけです。
仕事においても、飼い主とわんちゃんのような会話が、よく起こっています。
例えば、上司が部下に指示をしたときに、部下が言われたことしかやってくれないことは、よくありますよね。
これは、上司にしか見えていない抽象的な世界が、部下には見えていないことから起こっています。
立場が違えば見え方が違うということがありますが、それは、抽象度合いの違いということができます。
「抽象」のデメリット
「抽象」が必要であることは伝わったかと思いますが、「抽象」にも、デメリットがあることを知っておく必要があります。
「抽象」というのは、一般化するということでもあるので、例外が排除されてしまうのです。
本書では、次のように言われています。
枝葉を切り捨てて幹を見ること
例えば、この記事のように、素晴らしい書籍の要約をすると、最も大切な部分のみの切り抜きになってしまいます。
そのため、他にもたくさんある大切な部分が、記事の中で伝えることができず、書籍を読んでいただかなけれいけないことになります。
このように、抽象には、良いことがある反面、良くないこともあるのです。
具体と抽象のうまい使い方
具体と抽象は、どちらが優れていたり劣っていたりということはありません。
そのため、うまい使い方を知っておく必要があります。
とはいえは、まったく難しいことはないので、安心してください。
ポイントは、「目的」です。
例えば、我が社を100年続くいい会社にするためには、どんなことが必要だろうかという議論があったとしましょう。
そんなときに、「地域の人たちに愛されるための活動をしていこう」という人と「ゴミ拾いを始めよう」という人とでは、似ているようで、話の階層が違います。
具体的なアイデアが不要ということではないのですが、階層を合わせた会話をしなければ、この人大丈夫かな?と思われてしまいます。
抽象度の高い話をしていると、どうしても理解できないことも出てくるので、そのときに、具体例を話すというのは、分かりやすくて素晴らしいです。
服装もTPOが大切と言われますが、具体と抽象もTPOが大切というわけです。
見えなかった世界が見えるようになる
具体と抽象は、使い分けがとても大切です。
そして、使い分けをしていると、だんだんと視座が高くなってきて、見えなかった世界が見えるようになってきます。
さらに、見えなかった世界が見えるようになると、もう見えなくなることはありません。
平社員だった人が、部門の責任者を任されると、考えるべきことが変わることが想像できますよね。
仕事に限らず、具体と抽象を行き来することを意識して生活していると、見えなかった世界がパーッと広がることを感じられます。
ぜひあなたも「具体と抽象」を読んで、世界が広がる感覚を味わってみてください。