【要約まとめ】コーチングのプロが教える「ほめる」技術 by鈴木義幸さん〜アクノレッジメントを学べば人を動かすことができる〜
株式会社コーチ・エィ取締役社長 鈴木義幸さん著「コーチングのプロが教える「ほめる」技術」の要約をご紹介します。
本書は、人を動かせるようになりたい人にオススメです。僕は、Points of Youというカードを使ったコーチングを提供しているのですが、つくづく人を動かすことは難しいと感じています。
クライアントの話を聞いたり質問をしたりして、クライアント自身で答えを探してもらうのですが、いざ行動するとなると尻込みしている方も見受けられます。かといって、こちらから急かしたりお尻を叩いたりしたところで、クライアントの人生に変化が起こるとは思いません。しかし、行動することでしか人生に変化を起こせないと思っているものですから、僕のセッションを受けていただいた人には、どうしても行動を起こしてもらいたい。
そんなタイミングで、経営者のエグゼクティブ・コーチングを行なっている鈴木義幸さんの本書を読みました。ここには、相手の存在を認めるアクノレッジメントこそが、人を動かす鍵だということが解説されていました。クライアントのことを承認することで、こちらのことを信頼してもらえると同時に、クライアント自身のパワーを増幅させる効果があるようなのです。
では早速、鈴木義幸さん著「コーチングのプロが教える「ほめる」技術」についてお伝えしますね。
「コーチングのプロが教える「ほめる」技術」概要・要約
アクノレッジメント(acknowledgement)という言葉は、普段あまり耳にしない言葉ですよね。コーチングやカウンセリングをしている人なら、もしかしたら聞いたことがあるかもしれません。直訳すると、「認める」「承認」「認容」になります。僕は、初めて聞きました。
本書では、相手の存在を認める行為や言葉のことだと言われています。相手に対して関心を示してプレゼントをするだとか、挨拶をするといったことが、「あなたの存在を認めている」行為、言葉がアクノレッジメントあたります。タイトルになっている「ほめる」ということは、アクノレッジメントのなかの、一つの行為です。
なぜ、アクノレッジメントが、コーチングと関係があるのでしょうか。それは、人を動かす力を持っているからです。コーチングによって提供されるものは数多くありますが、一つに行動を変えることがあります。行動に変化を起こすことこそが、人生を変えるための唯一の手段です。
しかし、行動を変えるというのは、そう簡単にできるものではありません。僕自身、デイル・ドーテン氏著「仕事は楽しいかね?」にならって「明日は今日と違う自分になる」ことを目標に生きていますが、気を抜くといつもと同じ明日を送ってしまいがちです。また、Points of Youというカードを使ったコーチングを提供しているのですが、クライアントが行動を起こすのに苦労している姿を何度も目にしています。
このように行動を起こすのに苦労する理由の一つに、不安を感じていることが挙げられます。「失敗したらどうしよう」とか「人からどう思われるのだろう」といった具合です。そんな時に、アクノレッジメントを発揮して、「あなたの存在を認めている」ことをによって、相手の不安を払拭することができるのです。その結果、人を動かすことに繋がります。
<コーチングのプロが教える「ほめる」技術 目次>
第1章 人を動かすアクノレッジメント
第2章 認めること、ほめること
第3章 たった一言で気持ちは伝わる
第4章 人によって接し方はさまざま
第5章 相手にあったコミュニケーション
アクノレッジメントを実践する
相手の存在を認める
アクノレッジメントを実践する第一歩は、相手のことをほめることです。相手が、喉から手が出るくらいに聞いてみたいと思っている言葉を探すのがコツだそうです。「君の発想力は、抜きん出ているね!」「たくさんの人に出会ってきたけど、こんなにすごい人は初めてだ!」「とても期待しているよ!」などが挙げられるのではないでしょうか。女子マラソン シドニー五輪金メダリストの高橋尚子選手(通称:Qちゃん)を育て上げた小出義雄監督は、高橋選手に対して「君の土踏まずは世界一だ。マラソン女王になるために生まれてきたような足だ」と伝えていたそうです。
他にも、相手に任せることも、アクノレッジメントとして有効です。確かに僕も、上司から仕事を一任させてもらえると、ものすごくやる気が湧いてきます。やる気の謎を解き明かすファンタジー漫画「やる気クエスト」でいうと「承認者を見つける」のと同じようです。行動による成果を得られるかわからない場合でも、上司のためにも頑張りたいとなることができますもんね。
気持ちを伝える
ほめることが大事だとわかっていても、なかなか難しい場合もありますよね。失敗ばかりしてしまう人や、なかなか成果を得られないような人の、どこをほめればいいかわからなくなることもあるでしょう。そんな時は、相手を観察することが重要です。ほめるにしたって、相手のことを見ていないといけませんよね。
相手のことを観察すると、努力している行動や、喜ぶタイミングなどがわかってくることでしょう。そこで、あなたが感じた気持ちを伝えるのです。僕だったら、「コーチングを勉強しているんだね」とか「変化を起こすために努力しているんだね」と言ってもらえたら、あなたのことを好きになってしまうくらい嬉しい気持ちになります。
コミュニケーションのスペシャリスト 野口敏さん著「誰とでも15分以上 会話がとぎれない!話し方66のルール」でも、会話を続けるためには気持ちにフォーカスすることが大事であると、繰り返し繰り返し言われています。会話を続けられるようになれば、信頼関係ができている証拠だと思うので、きっと人を動かすことにも繋がるはずです。
接し方の四つのタイプ
アクノレッジメントは、どんな人に対してもある程度汎用的に使うことができるものです。しかし、思考パターンや外界との関わり方によって、人のタイプは四つに分けられるそうです。
- コントローラー:行動的、野心的で、自分が思ったとおりに物事を進めることを好みます。
- プロモーター:自分のオリジナルなアイデアを大切にし、人と活気あることをするのを好むタイプです。
- サポーター:援助することを好み、協力関係を大事にするタイプです。
- アナライザー:行動の前に多く情報を集め、分析し、計画を立てるタイプです。
詳細は本書に任せますが、相手のタイプによって、適切なアクノレッジメントの仕方があるようです。ウェルスダイナミクス理論の4つの周波数と似ているように感じますが、相手がどのタイプなのかを予想して、行為や言葉を選ぶと、より効果的なアクノレッジメントが行えそうですね。
アクノレッジメントで人を動かす
クライアントの存在を認めるアクノレッジメントを実践すれば、クライアントはきっと安心感を覚えてくれます。そして、こちらのことも信頼してもらえるようになるはずです。その結果として、セッションを受けていただいた後に、行動を起こしてもらえるようになる気がしています。
僕自身も、相手に認めてもらえていると感じられているときは、気持ちのいい人間関係が築けていると感じます。そして、相手のことを信頼して、相手のために頑張ろうという気になれます。
アクノレッジメントという言葉は初めて聞きましたが、コーチングを提供するのに必須な技術ですね。これからのセッションでは、積極的に実践していきます。